雑なあらすじをいうと、ファミレスで分厚い本を読んでいる謎の女子大生マリ、と高橋という若い青年の偶然の邂逅から起こるストーリー。エリ、というマリの姉がいて、マリはエリに対して容姿などでコンプレクスを持っていたが、ある日突然エリが半昏睡状態になってしまう。この状態にいたたまれなくなった(隣の部屋に昏睡状態の姉がいる、という事実に)マリは、深夜の東京で時間をすごす。
嫁が村上春樹のファンで、嫁の南京の実家に2回ほどいったときに嫁の本棚に村上春樹の本のかなりでかい中国訳が置いてあったのを覚えている。
ので、あんまりネガティヴなことは言いたくない。
ただ、正直に感想を言うと50点だった。
ストーリー自体は、いわゆる
(1) 現実世界(マリ、高橋、プロレスのおねいさん)
(2) 謎の異次元世界(エリの昏睡状態を表現していると思われる)
(3) 白川(風俗嬢を殴った男)の世界
の主に3つをスワップさせながら進行させていき、最後に(1) (2) を一つに合流させる、という形で大団円となっている。
細かく指摘していくときりがないのであれだが、プロレスのおねいさんのくだりや、個々のキャラクターの作り込みが印象的で、これについては純粋に面白いと思った。
ただ、白川がその後どうなったか、についての大団円は意図的にカットされており、その大胆なカットによってカタルシスをお預けにする、という手法にやきもきさせられた(しっくりこなかった)という考え方もできる。
ただこれは村上氏の個性とか、技法ということもいえ、まあ個人的にはしっくりしないがありかとは思う。
また、これは脱線するし本質的ではないかもしれないが、たとえば花盛りの森とかそういうもう少し前の世代の文学とかと比べて、
日本語が柔らかくなっているな、というか、
意地悪な言い方をすれば、
日本語が劣化している.... というふうな印象も受けた
欧米化した日本語、欧米化した教養....
なので、この作品を二回読みたいか、というと日本語の美術という観点からはかなり物足りなく思え、
ただそういうのはそういう時代の作品を読めや、などと言われればぐうの音もでない。
ただ、僕の学生時代読んできた日本語のほんと比べると、
格段に日本語が容易であるように思え、
なにかこう、しっくりこなかった。(そして、日本語がどんどん容易な、柔らかいものになっていくというのは、日本人という文明として、どうよ?とは思う。)
以上、「個人的」感想でした。
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