Thursday, November 12, 2020

適当に小説をかく

※フィクションです


 台場に正午丁度に降り立った。クラスのアイドル、ヒノキと待ち合わせるためだ。ヒノキは身長160cmくらいのバスケ部の女子で.... うちのクラスで一番可愛かった。

俺が彼女とどうやって馴れ初めたか、なんていうノロケ話で紙数を埋めたくない。そんなものは結婚したら披露宴でやってやるよ。彼女は有村架純に少し似てて、ニコッと笑った笑顔で毎回心臓が高鳴る。今学期ずっとあいつと一緒に学校生活を過ごしたのに、こうして改めてデートってなると.... やっぱり緊張するな。バスケ部のくせにボブヘアで、感情を体全体で表現する癖があった。


「たけしくんって」


だるい昼休み、こっちを食い入るようにみつめてヒノキは囁いた。


「?」

「なんでもない」


交換される果てしもなく空っぽな情報量に比較して、あいつの身振り、オーラ、しな、目線、音声、全てがまるで芸能人とエレベータで二人っきりになったような緊張感を与えた。


俺があいつと付き合えたのは。


ルックスは、まあ大したことない。うちのクラスだと棚尾と山崎がトップ2で人気だったから、まず俺は埋もれるけど、まあ身長は産んでくれた親のおかげで180はあった。だから他の例にもれなく、俺はバスケ部に入った。


あまりお世辞にも持てたと言うよりはバスケ部にもカーストはあったし、俺は目立たなかったから。でも俺はどういうわけか、あいつの視界に多くいたし、多くのやつがヒノキを特別扱い(それは間接的心理的においても)するなかで、俺はわりと心の中と体の筐体が乖離... していたから、もう少し正しく言えば時間にラグがあって家までは持って帰れたから。それで、余裕があった。


余裕があるかないか、というのは恋愛でもそうだし、そのほかでも対人関係において有利になるか不利になるかを分ける境目だ。人間は余裕のあるやつに惹かれるし好印象をもつ。息荒く、余裕のないやつ、例えば女に手の内を全部見せちゃうようなやつ(僕はあなたに惚れています、結婚したい~~~★)というのは女にとっては道に落ちたばかうけのように褪せたものにしか見えない。金のあるやつはそこに至るまでの闘争心とかベクトルみたいな動力が、乗れるジェットコースターみたいな頼り甲斐とか、新しい世界がみえる魅力なんかがあって女うけするだろう.... でもここで「女」と一般的に論じるのも実際はかなり標準偏差でぶちぎっているだけであり、実際にはどんなに表舞台に立てないやつらにも小さくて美しい一輪の花は存在する。


これは一般論だ。


なんていう幼稚な自分トークを脳内で繰り広げていたらヒノキがきた。今日は初デートだかんな。いろいろ調べた。まず俺たちはミニチュアの自由の女神あたりを見て、海の景色を楽しむ。そのあとアクアシティに行ってまあぶらぶら歩けば女子の好きな買い物もできるし、つまりアパレル系とかアクセサリ系がぎっしりあるし、まあ映画もみれるだろう。そのあとフジテレビの展望台でも行って、そのあとガンダムみよう....


こういう目算で組み立てた。


「はやくいこ!」


ヒノキがぴょんぴょん飛んでいる。


「オーライ」


歩いてみると、外は少し雨だった。天気予報は曇りだからいけると思ってたんだけどな。仕方ないからアクアシティに直行。


そして、ぐでたまグッズを鑑賞している時に二人のお兄さんに話しかけられた。


「あれ.... 超かわいくね」


二人は俺と同じくらいの身長で、なんか鍛えてる二十代?の大学生っぽかった。片方には和彫の刺青が入ってて、もう一人は窪塚洋介みたいな雰囲気でピアスをいろんなところに開けてた。


はじめだから、なめられてたまっかよ


窪塚風のやつにメンチを切った。


1対2だから、不安はあったが、ヒノキが見ている。後ろには引けない。


窪塚風のやつが股間?に膝蹴りを一発入れたことで、俺はその場に倒れた。


激痛だけで頭が一杯になり、それ以外は考えられなくなった。


そして、数分後... ようやく自我を取り戻したときにはヒノキも、二人のお兄さんもいない。


ヒノキ....?


全身から脂汗がにじみ出る、初めてのデートだったんだ。


2対1で、卑怯なクズが.... と憎悪のループで煮え繰り返りそうになりながら、俺はヒノキがどうなったのか非常に不安になり、ケータイを手に取る。


ラインに新着メッセージはない


(今どこ?大丈夫?)


電話をかけるが、出ない。


5分経ってもヒノキから返信がこない。


俺は大声で怒鳴った。



翌日、憂鬱な気持ちで学校につくと、ヒノキは出席していない、ということだった。


「はああああああ?」


ヒノキとよくつるんでいた2組の真壁路津子に聞いてみる。


「え?風邪で今日休みだってよ?」


きょとんとした顔でこの返事だ。


どういうことだよヒノキ。。。。


昨日の失態で俺にさめて、反社みたいなあいつらが好きになったのかよ


あんなやつらに股開くようなやつなんかオメー。


目頭が熱くなり、涙が床に溢れる。


俺は童貞だ。高校デビューしてはじめてできた彼女を、クソみテーなヤンキーに奪われてよおっ!


震えた。


国語も、数学も、英語もまったく耳に入らない。俺はひたすら憎悪を咀嚼していた。


下校時、いつも下る坂をポケットに手を突っ込みながらあるくと、そこには昨日のヤンキー二人組がこちらをみてニヤニヤしている。


眉間にシワがより、全身の毛が逆立った。



殺す!!!!



今日、ナイフを持ってきた。


急いでナイフを取り出そうとカバンを下ろしたその隙に、窪塚風のやつに蹴られ、その場に崩れ落ちる


ついで、目の前が真っ暗になり、どうやらワゴンに載せられたらしい。


殺されるのか!!!!


大暴れしようと思ったが、おそらく、こいつらの性質上無事ではすまないこと、ランダムな暴れ方はただ自分の状況を悪くするだと判断し、大人しく従うことにした。


ワゴンの走行音だけが鳴り、携帯で中年の男が喋っている。


(あー、あれは片付けておいて。青いビニールを)


車の音もありきちんとは聞き取れない


そのまま1時間ほどして車はとまり、視界がひらけたとき、


そこは廃工場のような場所で、パイプ椅子に足を組んで座っていたのは。。。。



ヒノキだった。



「え?」


「おつかれー」


「お嬢様、お待たせしました」



ヒノキの余裕。


ヒノキはゆっくりこちらに進むとおもむろに口を開いた。




「ごめんね。多分混乱してるよね。私の名前は実はヒノキではない。私は政府直属の秘密部隊オレグのエージェント幹部の一人。実は、あなたの英会高校に入ったのは、その高校に秘密地下組織ヨウカンのリーダーの息子がいる、と言う情報があったから」




?????? 何かの冗談か?




「1年前から、今回のプロジェクトは始まっていたわ。ヨウカンのリーダー格は巧妙に隠されていて、専属のハッカーにヨウカンが使用していたと思われるアジトの使用していたアクセスポインタの履歴から、そのメンバーのうち日本重厚取締役の本庄陽太と、本題株式会社課長、江頭祐介の2名が容疑に上がったの。そして、これら2社に直接潜入も試みられたけど、この二人は完全に(少なくとも物件証拠という観点からは)シロだった。」


「シロということは、つまり本人たちを洗ってもでてこない、そこで子供にめをつけたってわけ。怪しまれないように、私はオレグの1代表としてあなた、そう、江頭たけしとの接触を試みた」



「わ..... わかったよ。でもそうだったとしても」


俺は息をのむ。

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