Wednesday, October 14, 2020

反省しています


 ここ... 特におそらく10年の漫画の作り方の傾向として、というか命題として、


女の子をどうやって魅力的に描くか


というものがあって、これがウェイト的には大きかった。これは、学生時代秋田書店に持ち込んでいた時期、「それの感触が圧倒的によかった」というのもあるし、

結局ライトユーザーを取り込めるようなものを作るとすると競争では勝つ見込みがないから、であればオタクのリビドーに訴えかけよう、とかそういう後ろめたいものを刺激して注目してもらう、という方向性に必然的に方針をシフトしていった。


アルゴリズムとしては、


読者が読む → キャラの女の子を好きになる


なぜ好きになる?

キャラの女の子が魅力的だから


どう魅力的?

エロスが際立っているから、主観的に感情移入をさせる


といったステップを踏ませて、自分の女子キャラのファンになってもらう、そうすることで支持をえようとする考え方だった。

こういう作り手側のアプローチは、というより漫画をかくというのは落書きではないので、相当な労力を費やしてどうやって自分の作品のファンになってもらうか、を考えている。

オタクとしての消費者層は、まあ事実一部に作者ですらドン引きする「やべーやつ」がいるんだけど、でも肌感として8−9割はまあ気の弱い(=内向的な)やさしいやつで、現実で実現できなかった恋愛経験とかそういうのを疑似恋愛として漫画作品やアニメから「なぞりたい」と考えている寂しがり屋さんが多いわけだ。

もちろん、その消費者がそのまま作者にまわることもあるが、

外野が思っているよりもこういう世界は一枚岩ではなく、「やべーやつ」が一部混じっているから全体を揶揄される、反社会的とされる、というのは結構な偏見(バイアス)だと思っている。

つまり、ブロックチェーン界隈について、一部のICO詐欺やらマネーロンダリングのやつらから全体を決めつけられるくらいには、あっていない。(が、おおよそ偏見とはそのようなものだ)


ただし、そういう方向で、つまり


キャラが性的なリスクに直面する=外的刺激によりキャラの性的魅力が目立つ


のような方程式そのものが、つまりそのような作品のアプローチそのものが単調であり、また無教養だったのだ.... というようにも反省するようになった(もちろんそういう作品を批判しているわけでは断じてない、ホーリーランドですら大団円で使ってるし)


これは、太宰治の「パンドラの匣」を読んで気づかされたし、また、最近の「結婚できない男」の最終回より一個手前をみてもそう思った。


パンドラの匣では、マァ坊という看護婦さんがでてくる(時代を考えて、あえて看護婦とここではいう)。彼女はいわゆる少しヤンキー女気質で育ちが悪いように描かれているのだが、最後主人公(結核で療養している)の雲雀に対して、すこしずつその気持ちをサイコロの立方体を展開するように仄めかしていき、距離をつめていく。

シドニイシェルダン的な露骨な性描写も一切なく、ただの言葉の綾や表情、仕草だけが羅列されていくのだが、これが妙にぞくっとするくらい艶っぽく、読んでいる方にもそのマァ坊の「悪魔のようなエロさ」が伝わってくるのである。

結婚できない男の場合、桑原が隣人のストーカーに詰め寄って「二度と彼女に近づくな」、と言って追い払ったあと(その言葉の重みも印象的だったが)、隣人が一周回遅れて桑原に対する恋愛感情が急激に前景に押し出され、隣人のメインの意識がそれに一周回遅れて、まるで恋愛感情をもった自分とそれを観照している別の自分がいて、後者が前者に慌てふためいてすごいことになっている.... という内部の心理的コンプレクスが奥ゆかしく、下手なエロビデオよりもはるかに「エロい」感じになっていた。

つまり、これらは(後者はストーカーが怖い、という外的刺激がありつつも)原則は単調な「性的危機を介して性的魅力をあぶり出す」、というような表現のアプローチではなく、

もっと多種多様な魅力の伝え方があり、どちらかというとよりコンプライアンスとして健全であるがゆえにタチが悪く、いろんな意味で考えさせられるものであった。

まとめると、これまでの自分の描写やストーリーの組み立て方、キャラの表現の仕方が浅はかだったのではないか、というスキルの問題を痛感したのである。


まあその他のことについては、ご想像にお任せする。


ただ、ここ最近で表現について痛切に感じていることは、


「セックスから離れれば離れるほどエロい」


ということくらいだろうか。もちろん、金太郎飴みたいに機械的に顔を赤らめさせてみたり、非現実的なくらいに女の子を積極的で男の都合のいいものとして動かすのでもダメで(まあそういうのは事実そこそこ2次元でも3次元でも売れるのだろうが、ただただ美しくない)、そのあたりの機微というかそういうのを描けるのがアートなんだろうな.... とは思う。


アートは現実よりもエロいからね....











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