読まれなくなる社会──AI時代の思考力格差と「聖書を読む力」 2025-10-29 AIが文章を要約し、SNSが情報を瞬時に流す時代。人はもはや本を読む必要がないのか。 だが、統計は語る。「読む力」の衰退は、思考の衰退に直結し、ひいては経済格差を拡大させる。 そして、そんな時代だからこそ、数千年の時間を超えて「読む」ことの意味を問い続けてきた聖書の存在が、再び光を帯びている。 --- ■ 本を読む人が減っている 米国の全国芸術基金（NEA）が2024年に発表した調査によると、過去1年に1冊でも本を読んだ成人は48.5％。2012年の54.6％から大きく落ち込んだ。 「楽しみのために毎日読む」と答えた人は2003年の28％から、2023年にはわずか16％。わずか20年で約40％減少した計算だ。 識字率そのものは世界的に上昇している。世界人口の約86％は読み書きができる。 それでも「読む人」は減っている。英国やアイルランドでは、子どもが読む本の数も、難易度も年々下がっているという。 日本でも、小中学生の平均読書時間は減少し、SNSや動画視聴に割く時間が圧倒的に増えた。 --- ■ 読書離れは「自然な流れ」か 読書の減少には、社会構造の変化という明確な理由がある。 第一に、情報取得の主流が「読む」から「見る・聴く」に変わった。スマートフォンや動画、AI要約があれば、わざわざ本を開く必要はない。 第二に、余暇時間の分断。通勤や家事の合間に細切れでスマホを触る人が増え、「長時間活字に没頭する」行為が難しくなった。 第三に、教育や職場が「即応」「スピード」を重視するようになり、長文を読む力の優先順位が下がった。 このように、読書離れは「自然な結果」とも言える。 だが、「自然」だからといって安全ではない。 --- ■ 思考力の衰退が始まっている OECDのPISA2022調査で、加盟国の15歳の読解力は2018年比で平均10点下落した。これは約0.75学年分の学習差に相当する。 米国でもNAEP（全米教育進歩評価）で読解力の低下が続いている。 成人でも、OECDと世界銀行の共同調査（PIAAC）で、リテラシー能力が高い人は賃金・雇用ともに有利であることが示された。 一方、低リテラシー層は非正規雇用や低所得に陥りやすい。 読書量の多寡は、単なる趣味ではなく、経済的な生存力の差...
https://www.asmrchurch.com/journal/29
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