最近Youtubeで怪しげな広告をみた。
「この記憶術をやれば、瞬く間に記憶力が上がり。。。」
という宣伝文句だ。
YouTubeが(特に非英語圏の国々に対して)広告主体にまともなKYCを適用していないのはまさに悪夢と言えるが、この手の「簡単に何かを得られる」と触れ込んだビジネスはほぼ100発100中バカを搾取するためのビジネスだ。
「記憶術」というアプローチそのものは、一見物覚えのわるい人に魅力的に映るが、そもそも記憶力を劇的にあげるような銀の弾丸は存在しない。
もし仮にそれがあるとしたら、国家が採用して義務教育にとりいれている。
おおよそ、この手のメソッドをうたうのは、
1. 詐欺師
2. バカな人
の2パターンしか、私の目に触れた範囲では(あくまでも私の観測範囲だが)見たことがない。
記憶能力というのは人間の知的な能力のあくまで1コンポネントに過ぎず、言語だけに絞れば
1. 人の話をきく力
2. 文章を正確に読解する力
3. 1. 2. を理解する力
に分解されるから、結局は 1. や 2. を養った方がいいということになり、それは「基礎学力しっかりつけようよ」で終わる話だ。
また、脳はナマモノなので、結局脳を継続して限界値まで使用していれば脳は退行しにくいだろうし、逆に、刺激がなくなったり言語処理や記憶処理を「しない」環境にずっといれば、それは退化してしまう。
つまり
「頭をつかいつづける」
ことが大事なのであって、「記憶力を高めるこんなメソッドが!」というのはおおよそそれを提唱している本人の知的能力がかなり「緩」かったりするのであてにならない。
脳そのものは年間で脳の重量とおなじくらいの質量のごみを輩出しているし、データも結局代謝のコンテクストで考えられるべきで、「より多く入力し」「より多く思惟·思考し」「より多く社会的に活動·コミュニケーションし」「より多く出力する」というサイクルを回せれば記憶力は必然的に付随してくる。
また、語学などは記憶力(データ処理)がわりと可視化された営みであって、語学をよりがっつりやればそれだけ副産物として記憶力は増加するだろう、いずれにせよ、「記憶の前」に「言語理解力」とか「まともに人の書いた文章をとばさずにきちんと読んで理解すること」みたいな人として最低限の能力も前提となることをわかったほうがよい。
なので映像とかVRとかとかませればより記憶が効率的になる、などというのはかなり愚の骨頂であって、提唱している本人が旧帝大を首席で卒業したとかMITでPhDでも取ったとかなら話は別だが、まあすごい残念な感じなんじゃないかな、とは感じている。(というより心配している)
あと、ビジネスは基本ターゲットを明確にしなければならないのは基本のきであって、子供なのか、十代なのか、青年なのか、中高年なのか、サラリーマンなのか、高齢者なのかでまったくアプローチというか商品そのものの要件も大幅に変わってくる。
そこらへんを中途半端にしているというのは事業としては「死」を意味するので、まあ私とは何の利害関係もないですが心配だな... と思っています。
どんな技術にも銀の弾丸はないのであって、地味で小さな訓練をコツコツつみあげてはじめて結果がついてきます、
それが裸の王様になって視野狭窄が起こると、絶対に売れずに自爆するようなものにやたらと愛着を持つようなことになるのではないでしょうか。
「記憶」のまえに、「国語読解力」です。
以上、駄文でした。
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PS
まあこれもよく知られた事実ですが、「夜きちんとしっかり睡眠をとること」は長期記憶を定着させるために(脳神経科学的に)必須なことなので、睡眠ちゃんと取れてない(ことを誇ってすらいる)のに記憶を語るのは「ギャグなのかな」と思いました
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