Tuesday, April 10, 2018

クレヨンしんちゃん 襲来!宇宙人シリリ




キャラクター

野原しんのすけ ... 本作品の核となる、「トラブルメーカー」の機能を担っている。後述するが、本作品の大きなメリットの支柱である「予測不可能性」「トラブル」のトリガーであり、映画編では主にこの「予測不可能性」がイシューの(カリスマ的な)解決につながる、という機能を果たす

野原みさえ ... 本作品では4−5歳に変換させられてしまうが、全編を通して花形を担っている。母の持つ機能(子供の姿になってもひまわりの面倒をみる、最後に初期化されてしまってもひまわりに関心をもつ、などなど)や美德を一手に担っており、しんのすけについて重要なトリガーとなる。

野原ひろし ... 本作品では10歳程度に変換させられる。彼は父の持つ機能「守護」「責任」という特性を通して節目節目で大きなインパクトをストーリーに与え、トリガーとしての役割も持つ。全体を通して、ひろしとみさえは子供の姿にさせられても尚、父と母としての重要な機能を示すことで、そしてそれが見た目の対照的になっていることで、そのインパクト、感動を引き起こす材料となっている。

シリリ ... 本作品のテーマである宇宙人で、主人公側に立つ善玉の役割。初期状態としては父(悪役)の 価値観を継承しており、地球人は信じるな、地球人を憎めというふうな固定観念を持っている。この初期状態が、しんのすけ達との交流(イベントを通して)によって、少しずつ、最後に重要な決定(父に背いて自らの意思で判断する)をするまでに変化、成長する、という意味で本作品の主人公である。

シリリの父 ... 悪役でありシリリの父。 彼が全面的な悪役の機能を担っており、彼が全ての主役たちの葛藤の反作用となっている。また、その悪の行動(全員人類を赤ちゃんにしてしまい、再教育する)の動機が、視聴者の認識を代弁するものとなっている。

対象

全年齢(子供より、だが大人もみれる仕様になっている)

報酬系

主人公(シリリ)の人間性の成長(自己実現の追体験)
みさえがかわいい(華やかさ担当、そのため、途中でしんのすけの服からねねちゃんにあてがわれた服に着替えた)
みさえの人間性(母性)の美德、共感(これが、逆境になって浮き彫りになる)
ひろしの人間性(父性)の美德、共感(これが、逆境になって浮き彫りになる)
悪役の主義主張への共感(大人が全ての醜さ、悪の元凶だということ) = 聴衆の日常もつ不満や問題意識の代弁 = スッキリ
しんのすけの予測不可能性と、それによる面白さ、おかしさ、また予測できないアプローチでの解法の面白み

主なストーリーライン

1. 野原家にUFO激突
2. その中から出てきた宇宙人、シリリの光線により、ひろしとみさえが子供になってしまう。
3. ひろし、みさえを元の姿に戻すにはシリリの父親の力が必要
4. シリリの父親を探すため、たびに出かける
5. たびの途中、なにものかに財産を奪われる
6. 金がないという制約か、ヒッチハイクをし、停まったトラックに乗せられる
7. トラックの運転手の家にとまるが、ここで一悶着あり、逃亡劇
8. ここでひろし、みさえとしんのすけ、シリリ(大雑把にいうと)が別々になってしまう
9. シリリとしんのすけに軋轢があるが、サーカスでしんのすけがシリリの窮地を救うことで二人の関係性は発展する
10. 四人が合流するが、ここでシリリの父の元に強制的に連れてこられる
11. シリリの父の悪の計画のプレゼンと、それを阻止するための格闘
12. シリリの父を克服し、万事解決する

起承転結:
起.   宇宙人との邂逅、体を元に戻すミッション
承.      宇宙人父の元までの旅
転.      父との邂逅と戦い
結論.  体が元にもどる

まとめ

全体的にメリットの提供の仕方が王道である。過度な暴力やリビドーを全て削り取り、子供向けの制約を守りつつ中身の面白さ(キャラの成長、困難の克服、手に汗握る戦い、絆)で勝負できているという点で、非常にレベルが高い作りとなっている。(テレビシリーズであれば、これはしんのすけの予測不可能性とそれの導くトラブルとそのおかしさに全て収束される)。原則的にキャラクターの良さ(人間賛美)を綺麗に浮き彫りにして描いているという点、また、それがイベントによって作られている点、などが印象的であった。このような全年齢で楽しめる、かつ面白い作りは、理想といっても過言ではない。
(ここまでちゃんと作り込めば、ジャンプでいける)

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