Friday, December 31, 2021

小説練習(テキトー)

※これはフィクションであり、ストーリーの構築練習です。実際の人物、事件とは関わりありません。


北川は狭い8畳のマンションに住んでいる。月家賃は3万で、その安さの代償として最寄りの駅からは徒歩で30分ほどかかるし、隣との壁が薄くて、テレビの音もガンガン聞こえてくる。

彼の日課は多分にもれず労働階級の最底辺、すなわち中堅サラリーマンだ。

「最底辺」と自虐的に銘打ったのは、おそらくは最底辺はもっと日雇いとかそういう仕事だというのが・・・ポリコレが行き届いた現代においても、綺麗な上っ面の言葉と裏腹に人々が持っている社会通念だろう。

実際、北川みたいなホワイトカラーがブルーカラーよりも優れているのか?という命題に対して「YES」と答えるのは、少なくとも難しい。それは、ブルーカラーにはオスとしての原始的なバイタリティとか、そういうなんとも形容し難い男気・・・すなわち僕たち社畜が忘れた動物的な根幹を持っているからだ。すなわち隣の花は赤い。

毎日、駅のホームで電車をまつ。電車をまえにして、おもわず楽になることが頭によぎる老若男女たち。いくら宗教やってる人たちが「自殺は悪だ」と豪語して悦に入ろうと、「自殺をしたら地獄に落ちる」と脅そうと、死ぬやつは死ぬ。そう、それは生きるということ、つまり今を1秒1秒紡ぐことの苦痛から解放されるということを、本能的に・・・衝動的に求めてしまうからだ。

自壊願望。

北川はよく思惟するくせが幼少期からあったから(それは彼が病弱であったことも起因したが)、自分が破壊されることに対しての執着・・・つまりエロスを感じるという趣味趣向についてある程度の理解があった。

人間は抽象的な概念を理解する生き物ゆえに、抽象的な概念によって自死に追い込まれるという高度な状況を作り出した。

本来は単純である生命体、本来は膨大な免疫系と消化器系と筋肉と骨格によって生存し、ただ生存を延長して自然の脅威と共存し生きる・・・

そういったシンプルな実存は許容されなくなった。

「お前はなぜ、100点をとれなかった」

北川の母親はシングルマザーで、精神を病んでいたために子供に監督が行き届かなかった。

放置状態の彼は祖母に育てられたが、祖母の厳格さは彼に「許容される」という心理的な安全性を奪われる状態を恒常的にした。

認められたい。

ばあちゃんに、かあちゃんに。

だが、ソシオパスの支配する密閉された空間において、全体主義的な世界観において、「よき理想を現実のものとし続ける」ということは「嘘をつき続ける」ことでしか実現できないのであり、

北川は虚言癖を・・・生得的にではなく、後天的に身につけた。

「ばあちゃん、ぼく、100点取ったんだ」

余っていたテスト用紙に捏造した100点をつきだして、彼は誇らしげに「一点の曇りもない孫」を演じた。

「理科は?」

「理科も100点だったよ」

そこで会話は途絶えた。

サラリーマンになった彼も虚言癖で保身をするように進化してきた。

それはまるでカメレオンが木や葉っぱに擬態するように、彼はそれを生きる手段として明確に必要だと認識し、生活様式の核(コア)にその行動原理をおいたのである。

稲置は北川の二歳年上の先輩であったが、北川の女を見下したような態度に惹かれていた。

女が好きになる男・・・という言い方は主語が大きい。

女というのは、確かに国籍を超えて同一の似通ったマインドセットをもった一つの「人種」とみなすことも可能である・・・という北川の独自の見解もあったが、

それ以上に、「女はこうだ」「女はこういう男を嫌いになる・好きになる」という断定にはいささかバイアスや錯誤が含まれている。

女は、(それが性同一性障害など特殊な境界にいる人間でない限り)大きくは二つに大別できる。

一つは「男に近い女」であり、もう一つはより「女に近い女」である。

男目線からすればどちらにも「いい女」は存在するので、もし自分が自己肯定感の低い、競争に淘汰されるような軟弱な個体であれば「男に近い女」を選好すれば良い、

そして、「女に近い女」すなわちより非線形な心理的進化の残滓を残す一般的な女性のマインドセットと対峙する場合、そのような男には「強さ」「意思」「強引さ」「非日常」が求められる。

つまりどのカテゴリにどう訴求するかが鍵であり、それゆえにひ弱でイキッたような痛い男でも女とは付き合える・・・・という北川の多少の個人的怨恨のある洞察がマッチするわけである。

すなわち、稲置は「男女」であった。

北川の心理的な奥底にある女への蔑視感情は、それは母親像が醜悪であったこと、すなわち母親の愛情が得られなかったという人格形成時期の陰りに存在した。

この初期の傷ついた経験は、彼にとって「世界を拒絶すること」を自己保存のための本能的な手段とさせた。

女を拒絶すること。

世界を拒絶すること。



(だるくなってきたんでここらへんでやめます・・・・)

http://sugano.works

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