Sunday, December 24, 2023

ドナルド・トランプの功績?

 2016年ごろ(15かな?)私はタイのスタートアップで決済プラットフォームの開発をやっていた。Ruby on Railsで、基本フルスタックでやっていた。

当時上司はアメリカ人(もと米陸軍)でめっちゃでかい人だった。まあ過去のブログを掘ればわかると思うがこの人とは日本ブランチの女子社員をめぐって揉めた。(今は私既婚なのでこの限りではない)

ただ、まあその件がなければわりと仲良くできた人なんじゃないかと思うのである。まあ会社での男女のいざこざは諸悪の根源というかまあろくな結末にはならん。だが、社内結婚とかできる人はリスペクトする。まあそういう話はおいておいて。

当時は共和党のトランプが大統領選挙で勝った。

この事件について、僕の直接見聞きした限り(現地の米国人エンジニアやスタートアップ経営者など)やはり「トランプが大統領かよ・・・米国終わったわ」的なニュアンスのリアクションが多かった。

まあ「終わったわ」は誇張かつバイアスだとしても、民主主義の脆弱性が露呈したことは間違いないと思われる。

つまりどういうことかというと

中国・ロシア・北朝鮮・イラン・・その他、いわゆる全体主義国家(ないし民主主義と銘打っていても実質ほぼ独裁体制が敷かれている)と比較して、

民主主義国家の票というのを外部から操作できるよね、という話になって、これがいわゆる意思決定の非対称性をあらわにした。


例えば、全体主義国家においてはGFWのように海外のSNSを実質遮断したり(VPNで接続はできても)、香港の最近のApple DailyのWilliam Laiのケースのように投獄して終身刑のようなことができる、つまり「潰せる」。


ただ、日本米国西欧その他、そういうのが表現の自由とどうしても接触してしまう場合、そういうのを潰すのが非常に困難である。

加え、オールドメディアの時代から、細分化されたメディアの時代へと変遷した。個人でも発信して影響力を持てるようになった。

ケンブリッジ・アナリティカの件は米国では相当ショッキングな事件だった。フェイスブックで保持されているユーザーの大量のビッグデータにアクセスできたケンブリッジ・アナリティカは、当時のチーフ・エンジニアであったChristopher Wyllie(Mindf**kの著者)の自著によると、世論工作をしたい政府機関を顧客として、特定の層に向けてプロパガンダを執拗に流し、まあ平たく言えば「洗脳」し、票を操作した。


この最たる例は以下である


Brexit

ロヒンギャ虐殺

トランプ当選


また、反ワクチンなどのプロパガンダ、およびウクライナ戦争におけるロシア側の執拗なプロパガンダ、またイラン(?と思われる)中東よりのプロパガンダがSNSやYouTubeで大量に流された。

少子高齢化によって高齢者層の多い日本(その他先進国)にとってこれはまさに格好の餌食、と言える。


実際トランプ当選のときから(Christopherの証言によると)Lukoil社の関係者がケンブリッジ・アナリティカ(CA)の顧客として出入りしており、CAとSteve Bannonも深く関わっていることから、まあ真っ黒だわな・・・と。


ドナルド・トランプは Mary J Trump(トランプの姪にあたる) の著書 "Too Much and Never Enough"によると、父親の Freddy Trumpが非常に毒親・・・というよりソシオパスであった。


Freddyには 長男のFred、次男Trump、その他いたが、本人たちを普通の父親として接したり愛することはなく、基本的にはその有用性においてジャッジした。ささいな間違いでも尋常でない詰め方・言葉の暴力を繰り返した。


Freddyはドイツ系の移民でアメリカの不動産で帝国を築き上げ、とにかく「弱みを見せる」「甘える」ことに対して異常なまでに厳しかったという。まあまともな家庭とはとうてい言えなかった。


兄貴のFredは重圧に耐えかねた。Fredは飛行機のパイロットの資格をとったが、父親からは「バスのドライバーと変わんねえ」と一蹴された。

弟のTrumpはその異常な家庭に適応し、兄貴の失敗を見ていたため、とにかくどんなときにも「完璧な自分」を演じた。ただ、これはつまり、「嘘をついても」「絶対に自分の過ちを認めず」「相手を責め立てる」という、まあ本人が今直面している4つの重罪を作り出した根源となっている。


トランプは兄の死の知らせを聞いた時も、映画館で楽しんでいた。


まあこれ以上掘るのは控えるが、まあどうみてもまともではない。


ただ、まともではないが共和党的になぜ彼が強いかというと色々な要因があると思うがそのSNSの脆弱性をきちんと利用できたからだと思われる。


嘘。嘘。嘘。


コロナウイルスの時も「China Virus」とツイートし、(それが武漢発なのはそうだとしても、そういう扇動的な言葉を意図的に使い、)多くの日本人も含め大量のアジア系のアメリカ人が路上で突然暴力を振るわれる事件が相次いだ。

国会をQanonが占拠した事例も記憶に新しい。


「票が盗まれた!」といった悪魔の証明みたいなところを断定して叫べば、確かに相当なインパクトがあるんだ、というところも計算されていたのだと思われる。まさにポピュリスト政治だ。そしてこの手法は他の国で真似されていく。


例えば、台湾にて、バイクで父が娘を連れて行くときにぐずっている動画を切り抜いて、適当に日本語で「見てください!中国人が日本の娘をさらっている!」なんていうような、こんな程度の低い動画を大量にリツイートしていることに気が付かないのか。っていう。(ロヒンギャ虐殺はこれで起きた)


ああいう悲惨な状況を作ったのは、彼の「嘘を」「絶対化し」「断定しきる」というカリスマ性(rizz)が貢献している。つまり得票行為として非常に合理的だったのだ。


SNSで大量のプロパガンダを流す。複雑で白黒つけるのが難しい事象を「あいつらが悪いんだ!」と指をさして片付けてしまう。


これによって、これまでのオールドメディアが(イデオロギー色から自由でないにせよ)担保していた「客観的事実」が破壊された。


本当に、人によって、事実が全て真逆になった。


分断が起きた。


情報汚染されている当の本人が、「情報汚染」という単語を使う滑稽さ。

分断(そしてその悪い方)の本人が、「分断」という単語を使うグロテスクさ。


そういった形で、事実の宇宙が二つに分岐した、これがトランプの功績である。


これは認知能力の低下した、しかし熱い票田である高齢者層には、よく効いた。


日本を愛し憂いながら、海外のプロパガンダを食って日本に不利な投票行為を行う高齢者。


このトランプ手法は各国に真似されていく。盗まれた票。


嘘をついても、開き直ればいい。


そういう時代、やはり正しいリテラシーが求められる。(フェイスブックのTLをダラダラ見ない、得体の知れないYouTuberの発信ばっかり見ない、とか)


TikTokも含め、SNSが主要インフラとなる現代、


民主主義の真価が問われる。

No comments:

Post a Comment